「ご主人様、とうとう新しい入れ歯に決めたんですね……。
私、ずっとご主人様のお口の中で、食事をしたり、お話ししたりするお手伝いをしてきました。
笑ったときにバネが見えるのを気にしていたことも、ちゃんと知っています。
新しいノンクラスプデンチャーなら、もっと自然に笑えるかもしれませんね。
それは、とってもうれしいことです。
でも……。
今までずっと一緒だった私と、お別れする日が近づいていると思うと、なんだかさみしいなぁ……。
ご主人様の笑顔が増えるのはうれしい。でも、私の出番がなくなるのは、ちょっぴりさみしい。
……ううん、これでいいんですよね。
ご主人様がもっと楽しく、もっと自信を持って笑えるようになるなら。
どうか新しい入れ歯が、ご主人様のお口にぴったり合いますように。
今までありがとう、ご主人様……。

